(領域略称名:ヤポネシアゲノム) 2018~2022年度 総額5億2,920万円 (領域代表:斎藤成也)
近年急速に発達したゲノム解析技術により、これまでにない「革命」ともいえる規模で、日本人の起源について研究することが可能となってきました。その複雑な形成過程は、単純に「日本人の起源」という言葉では片づけられないとの視点にたち、、本研究領域では「日本人」という呼称のかわりに、歴史的に日本列島に居住していた人類集団という視点から「ヤポネシア人」(島尾敏雄が1960年代に提唱)の歴史を明らかにし、これまでにない新しい視点からヤポネシア人像を明らかにすることを目標としています。現代人ゲノムA01班 (班長:斎藤成也)、古代人ゲノムA02班 (班長:篠田謙一)、動植物ゲノムA03班 (班長:鈴木仁)、考古学B01班 (班長:藤尾慎一郎)、言語学B02班(班長:遠藤光暁)、ゲノム大規模解析B03班(班長:長田直樹)の6計画研究にくわえて、公募A04班・公募B04班(2019~2022年度)と総括班(班長:斎藤成也)が設置されました。
<1>文部科学省新学術領域研究「 ゲノム配列を核としたヤポネシア人の起源と成立の解明」
<2>大学共同利用機関機構間連携研究「日本列島における人間・文化の起源とその発展に関する総合的研究」
2018~2021年度 総額4000万円 (研究代表者:斎藤成也)
情報・システム研究機構に属する国立遺伝学研究所の4研究者(斎藤成也教授、井ノ上逸朗教授、中岡博史助教、Timothy A. Jinam助教)、人間文化機構に属する国立歴史民俗博物館の3研究者(藤尾慎一郎教授、山田康弘教授、坂本稔教授)、同じく人間文化機構に属する国立国語研究所の2研究者(木部暢子教授、大西拓一郎教授)、さらに機構外から国立科学博物館の2研究者(篠田謙一館長、神澤秀明研究員)が、日本列島人の現代人と古代人のゲノム解析、土器などの考古遺物、そして日本語と琉球語それぞれの方言の発展を研究し、理科系の生物学と文化系の考古学・言語学の成果の統合をめざします。また、北海道大学の鈴木仁教授と長田直樹准教授が、日本列島に人々とともに移動してきた動植物のゲノム配列解析を担当します。
<3>平成30年度ROIS機構間連携・文理融合プロジェクト「日本列島人の進化とその言語文化の起源」
2018年度 総額300万円 (研究代表者:斎藤成也)
文部科学省の新学術領域研究「ヤポネシアゲノム」が2018年度に採択されたので、その予算を使って、国立遺伝学研究所を中心とした現代人ゲノムA01班、国立科学博物館を中心とした古代人ゲノムA02班、北海道大学を中心とした動植物ゲノムA03班、国立歴史民俗博物館を中心とした考古学B01班、国立国語研究所などの言語学者5名が集まった言語学B02班、および北海道大学などの研究者5名が集まった大規模ゲノム解析B03班が構成された。また、情報・システム研究機構(ROIS)に属する国立遺伝学研究所と、人間文化研究機構に属する国立歴史民俗博物館・国立国語研究所の3研究所が中心となった、4機構(ROIS、人間文化研究機構、自然科学研究機構、高エネルギー加速器研究機構)が予算を出し合った機構間連携プロジェクトも採択された。このため、本予算は、これら2プロジェクトを援助するために使用した。もっとも大きな予算の使用は、過去に国立遺伝学研究所などの研究者が収集したユーラシア大陸の野生マウス100個体の全ゲノム配列を決定する計画のなかで、13個体分(1,446,120円を使用)の全ゲノム決定に使ったものである。来年度から、北海道大学の研究者を中心に、これら膨大な量のゲノムデータの解析がはじめられる。一方、文理融合研究としては、言語学グループが琉球語の諸方言のデータ収集および大陸における日本語で解釈できる地名のリストアップをおこない、また古くからある日本語アルタイ語族説への批判的検証をおこなった。一方現代人ゲノムグループは新学術領域研究「ヤポネシアゲノム」の予算を用いて、出雲と南薩摩2集団の合計60名の全ゲノムデータを決定した。2019年度以降に、国立遺伝学研究所の研究者が中心となって、これらのデータ解析を進める予定である。